音響機器・楽器の通信販売大手様向けに、RAG(検索拡張生成)技術を中核とした社内ナレッジ検索基盤を構築しました。数万点に及ぶ製品の取扱説明書(PDF)をAIに学習させ、カスタマーサポートや営業担当者の問い合わせ対応業務を劇的に効率化。回答と同時に「根拠となるPDFページ」を提示することで、正確で信頼性の高い運用を実現しています。
背景と課題
当該事業者様では、数万点に及ぶ製品の取扱説明書(PDF)を保有していましたが、情報の活用において以下の課題を抱えていました。
- 検索性の欠如:膨大なPDFの中から、特定の仕様(最大出力や端子構成など)を探し出すのに多大な時間を要していた。
- 属人化:ベテラン職員の経験に頼った回答が多く、情報の正確性や回答スピードにバラつきがあった。
- AI活用の未整備:データが構造化されておらず、最新のAI技術を直接業務に組み込むことが困難だった。
ソリューション:RAG技術による高度な検索基盤
最新のAI(RAG:検索拡張生成)技術を活用し、非構造化データであるPDF群をAIが理解できる形へと統合しました。
- PDFの構造化・ベクトル化:数万枚のPDFをAIが検索可能な形式に整形し、データベース化。
- 根拠(ソース)の自動提示:AIが回答を生成するだけでなく、根拠となったPDFの該当ページを直接提示する機能を実装。
- 自然言語検索:「〇〇の最大出力は?」といった口語での質問に対し、数秒で正確な技術仕様を回答する社内専用チャットUIを構築。
なぜRAGベースのシステムが必要なのか(従来手法との比較)
| 比較項目 | 従来のPDF検索 | RAG(本システム) |
|---|---|---|
| 検索方法 | ファイル名や部分一致キーワード | 自然言語(「〇〇の出力は?」等) |
| 回答の質 | 該当ファイルを見つけるだけ | 質問に対する直接的な回答を生成 |
| 根拠の特定 | ページ内を自力で探す必要あり | 該当ページをAIがピンポイント提示 |
| メンテナンス | マニュアル改訂時の再配布が煩雑 | 指定フォルダにPDFを追加するだけで即時反映 |
ポイント:情報の信頼性を担保するUI
一般的なAIチャットボットの課題である「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」を防ぐため、社内向けツールとして回答と共にソースとなったマニュアルのPDFプレビューを横並びで表示。担当者が最終確認を行える「ミスゼロ」の業務フローを実現しました。
導入効果
システム導入により、カスタマーサポートや営業現場における「情報探しの時間」が激減し、本来の顧客対応に注力できる環境が整いました。
- 回答スピードの劇的向上:従来、数分〜数十分かかっていたマニュアル確認作業が数秒で完了し、初動対応を大幅に短縮。
- 情報の信頼性担保:AIが「どのPDFの何ページ目に基づいた回答か」を明示するため、確認ミスを構造的に排除。
- ナレッジの共有化:専門知識の多寡に関わらず、全職員が最新かつ正確な製品仕様にアクセス可能になった。
今後の展望・拡張性
構築したRAG基盤は、製品マニュアルの検索にとどまらず、様々な業務領域への拡張を予定しています。
- 多言語対応の推進:海外メーカーの英語マニュアルを読み込ませ、日本語で質問・回答できる体制を構築中。
- マルチモーダル化(動画マニュアル連携):PDFだけでなく、修理手順の動画データと連携し、特定の手順シーンへ直接ジャンプする機能の検討。
本事例のように、Rakucloudでは現場の負担軽減と情報活用の高度化を同時に実現するAIソリューションを提供しています。社内ドキュメントのAI化をご検討の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。